カテゴリー別アーカイブ: マンガ

『よつばと!』(13)

 2年ぶりの新刊。
 そろそろマンネリ感のあったところに新キャラ登場で持ち直した感じ。
 さすがに2年あったので作者もいろいろ充電できたのだろう。

『うちの妻ってどうでしょう?(7)』

 最終巻。アクションを読まなくなってからもこれだけは単行本を買っていたのだけど、終わってしまうというので残念。『僕の小規模な生活』の方も休載中とのことだし、K澤氏もこちらにしか出て来なかったし……

『漫画版 野武士のグルメ』

 昔紹介した久住昌之のエッセイ集の漫画版という位置づけの本。
 久住節を堪能するという意味ではやはり原作のエッセイ集の方がいいと思うけれど、こちらの方が気楽に読める。

 あの『釜石の石割桜』もマンガ化されている。
 ちなみにこの石割桜はどこにあるのか。可能性は二つあって、一つは釜石市の石應禅寺。文中の酔客の話からするとここの可能性が高いのだが、ただネット上で調べる限り、ここに桜の木はあっても石割桜があるという話は存在しない。
 もう一つの可能性は、釜石市内の橋野高炉跡。ここには確かに石割桜があるが、ただ車で1時間近くかかる山の中であり、とてもとても野武士が朝食前に早起きして見に行けるような場所ではない。
 基本的にはこの話はフィクションであって実在するものではないということかも知れない。

『よつばと!』12巻

  • 全体的に周囲のキャラの善人度が上がりすぎ。独自の欲求が感じられないというか……。『リューシカ・リューシカ』あたりから逆に影響を受けたのかも知れないが、よろしくない傾向。

『たったひとつの冴えたやりかた』【ネタバレ】

 マンガじゃなくて古典SF小説。旧訳版にて。

  • 泣ける結末を持つ小説として有名らしい。
  • 簡単にあらすじを紹介すると、行方不明者を追って宇宙船で冒険に出かけた少女が、その途中、たまたま拾った病原体のようなエイリアンに「感染」し、脳に取りつかれる。少女とエイリアンは束の間友人になるのだが、結局はエイリアンには取りついた者の脳を食い尽くしてしまう習性があるうえ、強い感染性もあることがわかり、そのエイリアンともども太陽に突入して自殺するという話である。
  • ということで、おそらく自殺するというところが泣き所なのだろうが、残念ながら筆者にはちっとも悲しく感じられなかった。おそらくこれは、主人公の行動の動機に説得力が乏しく共感できにくかったことと、エイリアンのことを友人のようには思えなかったことが原因である。
  • そもそもおよそ物語においては、誰でも人が死ねば即ち悲しいというものではない。そうなるためには死んだり別れたりする者のことを観客が愛していることが必要である。而して観客が愛する者は、観客を愛する者である。といっても、物語には観客自身は登場できないから、実際には、観客と理念を共有し一体感を持って観客に代わって物語中で行動する者(通常は視点人物)を愛する者を愛することになるのである。この視点人物を愛する者のことは主人公という。この話でいうと、作者の意図としては、視点人物が少女、主人公がエイリアン、ということになるはずだったのだろう。
  • だがこのエイリアン、口先では少女を大事にするようなことをさかんに言うのだが、実際にしている行動を見ると、ちっとも友人のようでないのだ。特に脳を食べてしまうのはその最たるもので、自身が説明するところによると、このエイリアンの種族の年長者たちであるところの「師匠」に指導されれば食べないでも済む(しかし今ここに師匠はいないので食べざるを得ない)ということらしいのだが、師匠に言われれば食べないなら友人のためにも食べないべきだろう。
  • また泣ける原因として、感動の涙というものもあり得る。この場合、少女の自己犠牲により人類が感染を免れたということが感動のポイントになるということなのだろう。しかしこの話だと、感染してしまった以上どちらにせよ少女は死ぬので、立派な行為には違いないが自己犠牲というべきか微妙なところではないか。

『ブラック・ジャック』(電子書籍)

 eBookJapanの電子書籍版にて1~10巻を鑑賞。ブラックジャックの単行本にはいくつかのバージョンがあるが、これは原則として「講談社・手塚治虫漫画全集」版と同一のもの。

  • まず電子書籍の使い勝手について。なんといっても、従来の紙ベースの漫画本の場合、読み終わった後スペースを取るのが深刻な問題になるが、電子書籍ではそれを気にしなくていいのが助かる。このeBookJapanの電子書籍は、Amazonのそれと異なりPCで閲覧が可能なので、大画面で読むことができ見やすい。リーダーの使い勝手もまあまあで、読むのにストレスは感じない。
  • この電子書籍について。底本になっている講談社全集版同様、全22巻の構成で、作品は初出とは大きく異なる順序で収録されている。掲載順についてはこのサイトを参照。10巻まで読み進めた限りでは、特によくできた作品は第3巻までに集中しており、そのあとは徐々に下降線を辿る感じで、おそらく「よくできている順」ということなのではないだろうか。もし購入するなら、全22巻を大人買いするのでなく、はじめは最初の5巻あたりまでに止めるのを勧める。このシリーズは漫画の神様と言われる手塚治虫作品の中でも代表作クラスだが、できの悪い話も決して少なくない。
  • そのよくできている最初の3巻だが、中でも第3巻第7話『上と下』、第1巻第9話『タイムアウト』、第2巻第4話『アリの足』、同第7話『めぐりあい』の4本は誰にも勧められる名作である。特に『上と下』は、話にほとんど隙のない完璧な出来であり、作者の才能を感じさせる。

『僕の小規模な生活』5巻(福満しげゆき著)

  • 回想編は成功しているとは言えない。こういう内容なら、いつものエッセイ風構成でなく、きちんとしたドラマとしての構成が必要なのに、そうなっていない。だから読みにくいし盛り上がらない。表現したいことはわかるし悪くない選択なのだけれど。
  • まずなにより、「字の多すぎる」ことが問題というより、ドラマは事実に語らせるものなのに必ずしもそうなってなくて、言葉で思いを説明してしまっていることが問題。読者に感じてほしいことがあるなら、そう感じないではいられないような出来事を示すこと。「僕はこのときこう感じたんです」と自分の結論を言葉で説明するのはドラマではない。
  • おそらく、実際にあったことをある面では忠実に再現することにこだわる(しかも昔のことで細部を忘れている)から言葉で補足するしかなくなるのだろうけど……でももともと、相手のあることなんだしまさか全部事実そのままじゃないはずだよね、これ。これはフィクションですという断りの上で作ってるんだから、細部が事実と違っていてもいちいち言い訳しないでいいのだし、架空のエピソードを追加することにも問題はないはず。
  • 程度の差はあるが、新海誠もこんな感じだったような。
  • そういうわけで、新編集長のウケが悪いのは作品の出来の問題であって、私情によるものではないと思われ。6巻が出るのがこんなに早いスケジュールなのは、こういう終わり方したままほっといたらマズイという編集部の判断によるものであろう。
  • 103話の女性編集者の話、以前の巻の内容にしてもそうだけど、福満氏がそれなりに人気ある作家だからそうなってないだけで、本来ならセクハラ訴訟ものですよ。

『うちの妻ってどうでしょう?』4巻(福満しげゆき著)

 久しぶりの福満しげゆき新刊。

  • 編集者たちがあまり焦ってなかったってのは、会社的に漫画家たちに東京から逃げ出されたら困るからかも知れませんねえ。客観的に言えば、自営業の漫画家たちはサラリーマンに比べて逃げ出しやすい立場ですよ。でも今なら地方にいても漫画くらい描けないことはないから心配するほどのことではないかな。『うち妻』もデジタル仕上げらしいからデータ入稿できますしね。
  • 震災ネタもタイムリーだったけれど、本巻のベストエピソードは91話。「僕の自己嫌悪」「K澤氏との確執」「妻と僕の関係性の出たエピソード」の3拍子揃ったいかにも『うち妻』らしい回。
  • 111話はいままでにないスリリングな展開でした。
  • 福満氏が死んだら原発関係の殺し屋に殺されたと思っておきます。

孤独のグルメ「三鷹のお茶漬けの味」

SPA!第60巻第24号(7/5・7/12合併号)掲載

  • うーん。
  • テーマが(ネットでは特に有名な)ハンバーグランチの回と被ってることもあってか、展開に意外性が欠けている。
  • 人物の行動の動機がぎこちない。
  • 飛行機のパイロットは3日乗らないと腕が落ちるというが、漫画もこんなに間隔があくといろいろと問題が起こるのではないだろうか。

漫画短評: 『僕の小規模な生活』(4)(福満しげゆき著)

  • 福満氏の子どもを描く技術が徐々に上がっていっているのが見られる巻。ただ『よつばと!』みたいな萌え系の絵に持っていくつもりはない模様。
  • 子ども中心の展開になって世間の人気が伸び悩んでいるとの噂もあり。個人的には興味深く読んでいるけれども、子どもの話に興味が出てくる年代は少し上(20代後半頃から?)なので、モーニング読者のボリュームゾーンから外れている可能性はなきにしもあらず。『よつばと!』も若者ウケは良くないらしい。雑誌を移るといっても講談社には「ビックコミック」みたいな位置づけの雑誌がないし、困りますな。
  • 赤ちゃんの耳が聞こえてて良かった。
  • 81話。K澤氏のキャラは福満氏の作品にとって貴重なのでK澤氏は我慢すべし。
  • 92話。考えすぎ。
  • 93話。しかしAmazonだと評判いいし一時的に品切れのよう。ただ、個人的な考えとしては、福満氏はストーリー漫画についてはまだあまり実績がないわけで、いきなり買うのはリスクが高いように感じられる人が多いものと思われ。なか見検索に登録してみては。(追記: モーニングのWebサイトに連載されていたらしいが現在は見られない模様)
  • 99話。「マンガとかグラグラしたものでもらった!/グラグラした原稿料で!/毎月家賃を払って借りてる」は実感出てた。毎回だと困るが、たまにはこういう話もいいかも。

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